君の花嫁~大学生編~


高校からの持ち上がり組でも、結婚のことは知らなくても、付き合っていると思っている人はいるだろう。


「時々、経営学部の人と一緒にいるもんね。彼氏いるだろうなとは思ったんだけど、あきらめきれなくて」
「あの、彼は彼氏じゃなくて……」
「違うの? だったら彼氏はいない?」


言葉を遮るように話しかけてくる男性に少し驚く。見た目よりがつがつくるタイプだろうか?
彼氏じゃないと伝えた言葉に顔を輝かせている。
わかりやすいが、勘違いさせないためにもはっきり伝えないとな。


「いや。そうじゃなくて、あの人は……」
「旦那です」


突然後ろから声をかけられ、ハッとして振り返る。
そこには不機嫌そうな表情の伊織がいた。
いや、不機嫌そうというか明らかに男性を睨み付けている。ズボンのポケットに手を入れて見下ろすように威嚇していた。


「俺たち結婚しているんです。俺の奥さんに何か用ですか?」


‘俺の奥さん’を強調され、思わず赤くなる。
男性は伊織の出現と言葉に唖然としていた。


「結婚? 雨宮さん結婚していたの?」


やっと口を開いて確認してくる男性に頷くと、男性は驚きながら一言謝って、そそくさとどこかへ行ってしまった。

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