俺様主人の拾われペット





そして昨日と同じく花崎さんに車で送ってもらい
あの狭い道で降ろされる。



「じゃあな。学校が終わる頃には迎えに行かせる。」

「わかった。ありがとう。」




そう言って鞄を持って車を降りる。
そしてドアを閉めようとした時




「あ、待て!忘れてた。」




そう言って閉めかけたドアを仁美さんが止めて、開ける。

どうしたのかな?と私が覗き込めば…




-------チュッ…





「---------?!」





覗き込んだタイミングと同時に
唇に仁美さんのものが重なる。

そしてそっと離れた仁美さんの目と
私の目が合う。




-----------ドキッ…





今朝とは大違いの
甘い顔…。

知らない仁美さんの顔に
私は思わず顔を赤く染める。





「あとこれ、買っといたから使え。
俺と花崎の連絡先はすでに入れてある。」





そう言って何事もなかったように
渡されたのは、新しい携帯。

わぁ…本当にスマートフォンだ…。


初めて自分の携帯を手にした感動で
キラキラした目で見つめる。





「何かあったら連絡しろ。
じゃあな。いってらっしゃい。」

「あっ…ありがとうございます!
いってきます!」






そう言って私は仁美さん達と別れて
ウキウキしながら学校へ向かう。




「あー!!千夏ぅー!おはよー!!」

「んっ!?」





学校に向かう途中
後ろから聞き覚えのある声が私に突進してきた。

思わず変な声を出して突き飛ばされる。
後ろを振り返れば





「ひ、雛(ヒナ)…おはよう…。」





親友の雛が笑顔で私に抱きつく。

毎度毎度のことだから慣れてはいるんだけど…


う、打たれた背中が痛い…。






「あ、そうそう!!昨日のイケメン誰?!彼氏?!お兄さん?!」

「………へ。」

「昨日上から見てたんだから!!
超絶かっこいい男の人と学校きてたでしょ!」





なんと

親友に昨日の光景を見られていたなんて。

どう説明していいのか分からず視線を逸らしたまま口ごもる。




(ど、どうしよう…。)






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