サヨナラの向こう側
バイトのない土曜なんて、ひさしぶり。


何を着ればいいのかわからなくて、とりあえず無難なワンピースを着た。




駅前に向かうと、慶はもう待っていた。



「ごめんね、待たせちゃって」


「まだ約束の時間じゃないし。


なんか、いつもの感じじゃないな」


「あっ、変だった?」


「違うよ、かわいいってこと」


「そんなこと言われたことないから、困る」


「困った顔もかわいい」



なんで、そんなストレートなこと、言えるの?


誰にでも言ってるの?


年上だから?



「じゃ、行こっか」



慶が電車に乗って連れていってくれたのは、喫茶店だった。





< 121 / 270 >

この作品をシェア

pagetop