サヨナラの向こう側
そこからどうやって歩いたのか。


気づいたら、高校のそばの川沿いの道にいた。




校庭には、後夜祭の明かりがともり始めている。




さよなら、先生。




枯れていた涙が、またあふれてきた。




景色がどんどんにじんでゆく。


心にぽっかり、穴が空いたようだった。


その穴に、どんどん風がふきこんでくるようで、体の芯から冷えきっていた。



わかっていたはずなのに。


覚悟もしていたつもりだったのに。


やっぱり、いや、想像以上に、つらかった。





こんな時、どうしたらいいんだろう。


誰かに話したら、気がまぎれるかな。



誰かって、誰だろう。



川面をボーッとながめていたら、スマホが鳴った。




「おい、美久、いまどこにいるんだよ?」




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