サヨナラの向こう側
手をつないでいると、自然と落ち着いてきて、涙もおさまった。


「ありがと、千広」


「気にすんな」


「千広も、大学祭来てたんだ」


「理工学部に入ろうか、迷っててさ。


美久は、その・・・慶先輩と来たんだろ」


「うん、でも、ちょっとね」


「そっか」



優しいな、千広は。


無理矢理聞こうとしない。


私は、さっきまでのイヤな気持ちが、うすらいでいるのを感じた。


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