サヨナラの向こう側


「千広・・・」



なんでだろう。


千広の顔を見たら、涙が出てきた。



「お、おい、どうしたんだよ美久」


「ごめん・・・」



千広は、一緒にいた男友達に、


「悪い、あとで連絡する」


と断って、私の手をつかんで、近くにあったベンチに座らせた。




「何があったんだ?


話したくなければいいから、まずは落ち着けよ」



千広は、手をつないでいてくれた。


あったかい手。


なつかしいな。


小さい頃、私が泣いていると、いつも手をつないでなぐさめてくれたのは、千広だった。


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