私って悪女…
私は信司の車でマンションに向かう。
中に入り、荷物をまとめる。
旅行用のトランクを持ち、今度は順一郎のマンションに向かう。
「はぁ〜、疲れた」
私はソファーに座る。
「飲みに行かないか?」
信司が提案する。
「行こうか」
二人に誘われ、近くの居酒屋に入る。
「とりあえずビールとカシスソーダ」
三人で乾杯する。
「円さんは仕事は?」
「恥ずかしいけど…無職です」
「じゃあしばらくは大丈夫だね」
「はい」
運ばれて来た、唐揚げに箸をつける。
「でも、なんで入れ替わったのかな?」
信司が腕を組む。
「私もびっくりしました、目の前に自分がいて」
ぐいっとビールを飲む。
「ところで今好きな人いるの?」
「えっ?いませんけど…」
「なら、俺にもチャンスはあるってことだね」
信司は爆弾発言をする。
「俺にも…」
順一郎も
「さあ、帰ろうか」
店を出てマンションに向かう。
中に入ると順一郎はバスルームに向かいお湯を沸かす。
ちょっと待って、お風呂を入るって事は…
「順一郎さん!」
「何?」
「お風呂はちょっと…」
「大丈夫、見ないようにするから」
そういう問題?
「そう…」
「じゃあ、先に入るね」
そう言いバスルームに消えていった。
ピンポン
こんな時間に誰?
覗き穴をみると…
ガチャ
「健くん、どうしたの?」
「大丈夫かなって思って」
「とりあえず入って」
健はグレーのスエット姿、髪からはほんのり甘い香り。
私は健と並んでテレビを見ることにした。
「ニュースしかやってないね」
時間は11時を回っている。
「円さん、次どうぞ。あれ、タケどうしたんだ?」
「心配だから来た」
「そっか」
「じゃあ私も入るね、着替えはどれ?」
「これ、いってらっしゃい」
バスルームに入ると、使いなれたシャンプーの香り、それだけでホッとする。
10分後
「上がった?」
「うん」
私は紺のスエットに身を包んでいた。
「明日は仕事早いの?」
「休み、明後日からライブのリハがあって、ツアーが始まる」
「俺がサポートするからね、円ちゃん」
「ありがとう健くん」
「タケでいいよ」
お酒を飲んだせいか眠くなってきた。
「私先に寝ていい?」
「あっ、眠くなってきた?布団敷くよ」
隣の部屋に入り、順一郎は布団を二組敷いた。
「タケはそろそろ帰ってね〜」
「順が変なことしないか見張る」
「私は大丈夫よ、休んで」
「円ちゃん本当に大丈夫?」
「うん」
「じゃあ、また明日来る」
タケは出ていった。
二人きりになり、急に静かになった。
「寝ようか」
「そうね」
布団に入り、目をつぶる。
「円さん寝た?」
「ううん、まだ」
「手つないでいい?」
「…うん」
布団の中に手が入ってきた。
自分の手なのに何か変な感じ。
ギュッと力がこもる。
「おやすみ」
「おやすみ」
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