嘘や偽りの中で
「やっぱ亜樹ちゃんて可愛い。」
私とは正反対に余裕綽綽な隼人の二の句もこれまた私を挙動不審に陥らせる。
「からかわないでよ。」
やっとで言った私の言葉にキョトンとする隼人。
「何で?マジでそう思ってるよ?」
ダメだ…この人といると私が私じゃなくなる。
「とにかく…戻ろ。」
バケツから溢れ出した水道の水を止め、私はそう促した。
「あぁ。」
そう言ってたっぷり水が入ったバケツを少しだけ傾け水を減らして隼人は片手で持ち上げた。
…ずっと手は離さないまま。
妙に汗ばんだままの繋がれたままの手をなぜか自分から離す事ができない。
隼人は美奈達の所へ戻る間、何も言わなかった。
やっと美奈達の姿が見え出し、さすがに恥ずかしくて私は手を離そうとする。
でもそれをわかってか隼人は私の手を強く握りしめた。
そんな私達に気づいて
「バックレたかと思った。」
意味ありげに笑いながら太一がそう言った。
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