嘘や偽りの中で


この辺りでは広めなこの公園は今いた遊具のある場所からトイレがけっこう離れてる。


「でかくね?この公園。」


隼人が感心してるようにそう言った。


「だね。」


それきり無言になる。


この繋がれたままの手もいつ離してくれるんだろ…。


「お、見えた。」


やっと見えてきたトイレに近づき、隼人はバケツを置き蛇口をひねる。


「……ぃ?」


勢いよく出始めた水道の水がバケツの底を打ち付ける激しい音に隼人の声が掻き消された。


「何?聞こえない。」


溜まり始めたバケツの水が音を立てるのをやめ、それと同時に聞こえ出した隼人の言葉。


「亜樹ちゃんって俺が嫌いなの?」


「ぇ…ちょっ、嫌いとかまだそんな。」


あたふたする私に


「俺はずっと話してみたいと思ってたけど?」


なんて事ないように隼人はそう言った。


えっ…嫌…うん。


どうしよ…言葉が出ない。


恋愛に不慣れな私は男の子からのその一言に確実に挙動不振な人。



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