元天才少女
第1章 新しい道を進む

月の光

‘あなたは将来、大人になったら絶対音楽家になるのよ’
‘音楽はいいだろう。麗心も音楽好きだろう?同じステージに出ような’
‘うん!れいん、パパとママみたいになる!’

あたしの小さい頃の夢は、パパとママと一緒に同じステージに立つことだった。
だけど、今は音楽なんて嫌いだ。
音楽がパパとママを奪ったんだ。後、あの女が奪った。あの女がパパを脅してはらませたたんだ。
それを知ったママはお酒に飲まれ中毒になって亡くなった。
だからもう、パパとママと同じステージに立つことはない。一生…。…どれだけをそれを望んでも。
パパはあの女の所に行ってあたしはこの広い家で一人だ。

「お姉ちゃんアメあげるよっ!」
『どうして?』
「お姉ちゃん。いつも、一人で寂しそうで泣きそうにここにいるから!」

あたしは学校に帰りいつも夜まで、一人でここの公園にいる。
パパとママ遊んだ…面白くて楽しかった思い出。今は一人…。

そして、今あたりの目の前にいる少年の広げた手にはアメが2つある。その2つのアメの意味はなんだろう。この少年は誰かあたしが待っているのかと、思ったのか。
まぁ、いいや。あたしは少年の手のひらから1つアメを取り……

『ありがとう』

と、微笑んだが…少年は何故か不機嫌だ。
その後あたしの手首を掴んで、もう1つアメを渡してきた。
少年は走りだし、お母さんらしき人と手を繋いで帰って行った。
あぁ、子どもみんな帰っちゃったな。
あたし一人の時間だ。月が出てる。波の音
ドビッシーの月の光が思い浮かぶ。
ここらへんがまだ音楽が抜けない。
それに高校は青嵐の音楽科に入った。音楽科にはぱぱに入ってほしいと頼まれたからだ。

『はぁ…』

ため息をつく。
……あれ?バイオリンの音がする。
かなり上手だな。青嵐の生徒かな?
あたしはバイオリンの音をする方に足を進めた。
公道を出て海沿いのガードレールを越えて進む。
バイオリンを弾いているのはシルエット的には男の子だ。制服は青嵐の白のジャケット。音楽科の生徒だ。普通科とは黒のジャケットで区別されている。

『月の光……』

ピアノ曲をバイオリンに編曲して弾いてる。めずらしいこと…。けど、すごくレベルの高い演奏だ。
だけどこの音はバイオリンかしら…ビオラ?にも聞こえる。でも、バイオリンね。
青嵐にこんなレベルのバイオリニストはいたかしら。先生方でもいらっしゃらない。
これはもうプロの領域を達している。

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