雨の日に君へ
「…あの」

「うれしい…。あぁ、そうか、
もしやお前はこの町の者ではないのだな?」

と、無理な笑顔を浮かべてまた即答できない質問を投げ掛けた。

「はい…。南フランス出身です」

「そうか。それは、遠くまでご苦労だな」

「はぁ……。」

それきり少年は陰鬱な表情を浮かべていたが
何を思い出したのか急に明るくなって

「この後なんの用もないのだな?少々付き合いたまえ。」

一番わからない、今度は命令だった

「どういう……あぁ!ちょっと」

そして俺は有無を言われぬまま腕を引かれた。


表情のコロコロ変わるその少年は一体
どこへ向かっているのやら。



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