ゾンビバスター~4人の戦士たち~
 まだ明るい時間のうちに山頂を降り、無事に学校へ戻ってくると、

「明美ちゃん、ちょっと!」

 ひとみらしくない強い力で強引に腕を引かれ、その様子を男子二人が不思議そうに見送る中、女子トイレに連れ込まれる。

「な、なに!? 話なら皆のところでも――」

「ダメっ!」

 強い声でさえぎられて、びっくりする。

「ど、どうしたの?」

 ひとみの勢いに押されながらも、聞いてみる。

「あのね……『マリアさま』って、純潔じゃなきゃいけないのかな……?」

「はい――?」

 最初いわれている意味がよく分からなかった。  
 急に、なにを言い出すんだこの娘は!?
 怪訝そうな表情を浮かべる明美に対して、ひとみのほうはどこか恥かしそうな表情を浮かべている。

「あのね、だから……体も純潔じゃなくちゃだめ、なのかな」

「はぁー!? なっ……むぐっ」

 なにいってんの!? そう叫ぼうとした口が、ひとみの手によって塞がれる。

「声が大きいよぅ!」

 注意までうけた。

「………」

「大きい声、出さないでね?」

 頷くまで口を塞いだ手を離してもらえそうになかったので、明美が何度も首を立てに振る。するとようやく開放してもらえ、とりあえず落ち着くために一つ深呼吸してから、ひとみに向き直る。

「どこをどうやったらそんな疑問に行き着くの?」
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