イジワル上司と秘密恋愛
10・長い夜の終わり
【10・長い夜の終わり】


「ん……、何か聞こえる……」

翌日、朝日が窓から部屋を照らすと同時に、外から物音が聞こえて私は目を覚ました。

もしかして助けが来たのかも知れない。

そう思って、慌てて乱れていた着衣を直し手櫛で髪を整える。

「綾部さん、起きて。誰か来たみたい」

隣に寝ている綾部さんを起こすと、彼も慌てたように起き急いで身支度を整えた。

「誰か助けに来てくれたんですかね?」

期待で窓の外を眺めていた私に、綾部さんは腕時計を見てから、

「まだ朝の五時だぞ……俺たちがいないことに気付いて助けに来るには早すぎる」

どこか緊張感を滲ませた声でそう言った。

そして……そんな彼の勘は的中する。
 
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