イジワル上司と秘密恋愛

「私、朝には強いですから。目が覚めた瞬間からエンジン全開です」

「凄いな。俺は駄目だ、昨夜の酒だとか疲れだとか簡単には抜けなくて。もうジジイだからな」

そんな自虐的な事を言いながらクシャリと前髪をかきあげ、綻ばせる笑顔が朝日に煌いている。

素敵だな、と目が奪われるけれど、何気ない彼の言葉に少しだけ胸が痛んだ。

——昨夜は彼女とデートですか?

そんな質問が口を突きそうになって慌てて飲み込む。

——朝に響くほど昨夜お酒を一緒に飲んだ相手は“マリ”さんですか?

口に出せない嫉妬めいた醜い言葉は、奥歯で噛み潰して苦味と一緒に嚥下した。

 
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