FIRST KISS ~オムニバス~
“キーンコーンカーンコーン”
放課後になる。
やっと終わる学校。
言おうと決めていた。
楠木と話をつけなきゃいけない。
「…………。」
「ばいば~い。」
「あ、うん、バイバイ。」
戸惑う私を気にも留めない皆。
まあ、そういうもんだよね、他人って。
そう思いながら楠木の後ろに立つ。
背、こんなに高かったんだ。
何だか勇気なくなりそう……。
ドクドクと胸が鳴る。
聴こえてしまわないだろうか。
「く、楠木!」
「へ?」
驚いたように見た彼の顔は
ほんの少しだけ、赤かった。