鬼姫伝説Ⅲ



「でも、鬼羅さんの側は落ち着きます」

「ゆ、由羅ぁ!?」

「だから、そう言うんじゃなくって!」



この世の終わりみたいな表情の快斗を怒鳴りつける。




「怒鳴られるのも、そこまで嫌じゃないし」

「お前、物好きだな」

「違いますよ!怒鳴られるのが好き、じゃなくて!そうじゃなくて・・・」



うまく言えないんだ。
感覚の問題だから。
なんとなく落ち着く。


なんだか、ホッとするような。
穏やかな気持ちになる。



なんでだろう。
これは、そうだ・・・。




「お母さんといる時みたいな!」

「お母さん?」

「そう。お母さん。お母さんにがみがみ言われても、その時はムッとするけどしばらくしたら落ち着くし。お母さんの側って、すごく安心感があるっていうか・・・。そんな感じに似てるんだ!」




気づいたらすっきりした。
そうそう。
そんな感じなんだ。





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