ゆりあ。
『だからね-!桃味が好きな子はねっ!浮気症なんだって!』



お店の受付の奥の
事務所をあけると
あたしと同じ年くらいの
金髪のロングヘアーを
指に巻きつけながら
舌っ足らずな話し方で
力説する子がいた。


『おお!ゆ-ちゃん、おはよ!』

『おはようございます!』

『おはよ-!あたしはね、りのあ!』

『あっ!ゆりあです!』

『ゆりあだから、ゆ-ちゃんなんだ-!よろしくね!』

『よろしくお願いします!』

『りのあさん、ご予約のお客さん来ましたよ!』

事務所のドアが開いて
金髪のホストみたいな
お兄ちゃんが言った。


『うっそ!はやぁぃ!大丈夫?メイク崩れてない?!』


『かわいいですよ!行ってらっしゃーい!』

『もぉぉ~ありがと♪行ってきまああす!』


りのあちゃんは
ヒールの高いブーツを
こつこつならして
走っていった。



『…にぎやかな子でしょ?』

副店…こーたんが
笑う。

『めっちゃ可愛かったです!』

『りのあさんは、今お昼のNo.1ですからね!』

金髪の兄ちゃんが
自慢げに言った。

『ゆりあさんですよね?俺は、タローです!』

『タロー?』

『はい!飼ってる犬がタローなんで!』

『なにそれ~!!!』

『はいはい!ゆ-ちゃん、早速お仕事ですよ!』





―――胸が
ドクンと鳴った。
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