面倒くさがりの恋愛
 答えて、生嶋さんを見てギョッとした。

 声だけでは解らなかった、とても不機嫌そうな顔。

 生嶋さんは煙草を消すと無言で立ち上がり、それから会計を済ませて振り返った。

「じゃ、行こうか?」

 腕を捕まれて青ざめる。

「ど、どこへ?」

「割りきりの関係ならいいんだろう?」

 お店から、腕を捕まれたまま連れ出されて、ずんずん歩いていく生嶋さんに小走りでついて行く。

 人通りの少ない通りに差し掛かり、見えるネオンの電飾に慌て始めた。

「い、生嶋さ……」

「俺は男だから、女がいれば抱きたいと思うのは普通」

 冷たい視線を返されて息を飲む。

「君は恋愛はいらない。割りきりの関係でいいと言う」

「は、はい……」

「ちなみに、今、そういう男はいるか?」

「い、いません……けど」

 いるはずがないけれど。

 ど、どうしよう。

「なら、そういう関係になるのに、俺でも構わない訳だよな?」

「構います! 生嶋さんが真面目なら構います! 私だってそこまで失礼じゃな……」

 言いかけた言葉は唇で塞がれた。

 強引にこじ開けれた唇に、するりと舌が入ってくる。

 入ってきた舌が、私の舌を絡めとって蹂躙していく。

 離れようとして押し返した手は捕まれて、腰を抱かれて強く引き寄せられた。

 ピッタリと合わさった身体。

 生嶋さんの熱が伝わってくる。

 息苦しくなって、力が抜けて……

 それからゆっくりと離された温もり。

 お互いに息が上がって、肩で息を吸う。

 目と目があって、それから苦笑された。

「本当に、ソレでいいのか?」

 理解が出来なかった。出来なかったけれど解った。

 言われた言葉の意味が解ると、反射的に生嶋さんを突き飛ばした。

 突き飛ばして、壁に思いきりぶつかる生嶋さんが見えた。

 見えたけれど背を向けて、いっきに走り出す。

 そんなことは望まない。

 絶対に絶対に望まない!

 面倒なことは嫌。

 暖かい温もりは心地良いけれど、自分のものにならない熱はいらない。

 いらない……!









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