面倒くさがりの恋愛
 現に私だって今、真顔以外の生嶋さんを見て楽しい。

 普段、会社で見ることのない生嶋さんに、楽しいと思っている。

 こんな風に、実はフランクに話せる人なんだと知って楽しい……

 けれど、嫌だ。

 もし、彼を好きになってしまって、それから別れてしまったら?

 前彼だって、実は嫌いで別れた訳じゃない。

 疲れてしまったけど、最後はひどいことになってしまったけれど。

 それでも、別れた時は嫌いじゃなかった。

 彼氏になったから束縛してくるのなら、元の友達に戻れれば、あの頃の彼が戻ってくるんじゃないかと思っていた。

 現実として、都合のいい話ではあったけど。

 嫌いじゃなかったから、好きになった頃の彼に戻って欲しかった。

 全く徒労に終わったけれど。

 気がつかないふりをしたけれど、噂の原因が彼だと知って傷ついた。

 傷つけて、傷ついて、泣いた。

 ……そんな思いをするのは、もう嫌。

 だから、絶対に近くの人は好きにならない。

 絶対にならない。

「恋愛以外に見合いをして、だ。それで結婚したとしても、結婚って、相当な束縛だと俺は思うんだけど」

「じゃ、結婚もしなくていいです」

「何を反発してるの」

「反発なんてしてません。もう放っておいてください」

 顔を背けると、煙草の煙と一緒に、溜め息が聞こえたような気がした。

「33のおっさんだから言うけど、そのうちつるんでいた奴らも結婚して、家庭を持っていくし、一人は寂しいもんだぞ?」

「寂しくなんてなりません」

「いやー。なるよ。俺は寂しい」

「恋愛抜きで、相手をしてくれる人を探せばいいじゃないですか」

「……君もそうするの?」

「寂しくなったらそうします」

「割りきりの関係ってやつ?」

「そうですね」

「出来るの?」

「出来ます!」

 ほとんど、売り言葉に買い言葉だった。
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