思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
2人がゲームを始めたのが夕方、学校が終わってすぐの話。
今はもう随分と暗くなってしまった。
3本勝負のはずが、一向に決着が付かないのだ。
どうしてこのゲームは同率1位という設定を作ってしまったんだ。
コンマ単位まで読み取って順位をつけてしまえばいいのに。
三試合目以降、打ち合わせでもしたかのように交互に勝利する。
そのおかげで、勝敗が着くことがな。
途中夕飯を挟みながらもまだ2人は戦っていた。
夕飯を食べたあとは、お腹いっぱいで眠くて仕方がなかった。
終わりそうもない戦いをソファで見守るけれど、時刻はもうすぐ11時を回ろうとしている。
「ふあ~」
あくびが止まらない。
一度でも瞼を閉じたら、再び開けることなんて到底出来そうもない。
頑張ってはみた。
それでも睡魔には勝てないようだ。
2人の声がどんどん遠ざかり、視界も黒に染まっていく。
「……まだやってたか。そろそろやめなさい。夕はもう寝たみたいだし、2人も、ね?」
「じゃあ勝負はここまで」
「つまり」
「俺の勝ち……!」
誇らしげな蒼空。
「くっそ……あと一回やってれば勝ったのによ」
「残念でした。ってことで、これからは俺の邪魔はしないで」
「あー、はいはい分かりましたよー」
「じゃあちゃんと片付けなよ?」
「はーい」
「あれ、そういえば優那ちゃんは………」
「ぐっすり寝てるな」
「本当だ。じゃあ俺が部屋まで連れていくよ」
透が、触れようとする。
「透、俺が連れていく」
けれど、それを蒼空はさえぎった。
「じゃあ蒼空、頼むよ」
「なーんか蒼空、優那のこと気に入ってるよな」
「優那はやさしいし可愛いし、それに____」
「それに?」
真がおうむがえしで聞く。
「なんでもない」
「蒼空、優那ちゃんが好きなの?」
透は、率直に蒼空に投げ掛けた。
「好きだよ」
迷いなく答える。
「本気か?」
「皆好きでしょ?」
「そういうね。まぁ、勿論」
「あ、あぁ」