羽ばたけなくて
「好きになるのも、

 ……花嫁修業の一つなのよ、きっと。

 私が、好きになるように頑張ればきっと……」

「頑張れば、好きになるのか?

 努力すれば、人の気持ちは変わんのかよ。」

美園の言葉を遮るように、大志が乱暴に言い放つ。

遠くを見つめ続けていた美園の目から、

大粒の涙が溢れ出てくる。

「だって、仕方ないじゃない!

 生まれた時からきまっていたことだし、

 それにお父さんの会社を守るためなんだもの。」

自分自身を納得させるように美園が涙声で叫ぶ。

嗚咽にも似たその声に、私の心が震える。

「美園は、……お前自身はそれでいいのかよ。」

大志の声も微かに震え始めている。

それは両腕にもおよび、

掴んだ美園の肩にまで振動が伝わっている。

そんなこと、美園自身だって、

納得なんて出来てないはずだ。

全ては親のため。

大切な家族を守るために、

美園は自分を犠牲にしようとしている。

「それは……」

「俺の、この想いは、どうすりゃいいんだよ!」

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