急に女扱いされても困る

気付く

中間テストの最終日がこれ程までに嫌だと思ったのは、たぶん人生初だと思う。

「たまには時雨坂以外と練習しようよ…」

最終日、最後の科目を終え、教室内が解放感に包まれる中、僕は一人机に突っ伏していた。そんな様子の僕に中神は苦笑する。

「明、そんなにあの1年と会いたくないの?」

テスト明けの明日日曜日、時雨坂と今年度2回目の合同練習が行われる。今回は虎高の体育館で。最悪だ。
奴と知り合ったあの日から、毎日のように送られてくるメールに正直困っていた。やめてくれと言ったのに、聞いていなかったらしい。学校であったくだらない話や部活の話、あとは好きな音楽やらなんやら…とにかく毎日朝昼晩最低1通は送られてくる。毎回返信するこっちの見にもなってほしい。
そんなことを話せば、中神は不思議そうに首を傾げた。

「そんなに嫌なら返信しなきゃいいだろ?」

うぐ、と変な呻き声が出た。普通はそう思うだろう僕も思ったよこんちくしょう。

「…律儀に送ってくれてんのに無視するのはなんか…申し訳ないし。」

最初はそうしようかと思った。でも以前それをやったら数時間後にあからさまに方向性の違う話題を振ってきたのだ。気のせいかもしれないけど、なんとなくそれが僕に嫌われまいとしているようで。結局家にケータイを忘れてメールに気付かなかったことにした。

「なんていうか…やっぱお人好しだよなあそういうとこ。」
「なんとでも言いやがれ。」

なにせ奴からの…永谷からの想いというかなんというか、そういうのが思いのだ。だから会いたくない。反応に困る。

「でも練習には出るんだろ?」
「…そうだけどさあ…」
< 13 / 20 >

この作品をシェア

pagetop