恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
  保健室へ


「ほら、お茶でよかったか」


「うん」


「落ち着いたみたいだな」


「僕の絵」


「ボロボロになってたからな、片付けた
みたいだ」


「そっか」


ちょっと、いい感じに描けたのに、
残念だなぁ。


「部長さんが、時間は少なからずあるから
また、一から描いてみたらどうだって
言ってた」


「そっか」


「あんなこと、誰の仕業だろうな」


「犯人探しはしない、良いことない」


「お人好し」


それでも、いいんだ。

良いことない、犯人探ししても、
皆が嫌な気持ちになるだけ。


突然、ドアがあいた。


「はぁ、はぁ、聖君、大丈夫」


「幸来ちゃん!」


「おっ、聖、お姫様の登場だな。
俺は、ちょっと聖の事、部長さんたちに
言ってくる」


颯爽と出ていった。


お姫様ってなんだよ。


「聖君、顔色悪いけど、大丈夫」


「うん」


「今日は、早めに帰った方がいいね」



頬に手を添えられた。


はぁ、はぁ、はぁ、はぁ


「…くん、ひ…くん」


駄目だ、やっぱり、パニック起こした後

人に触れられると怖い。


「聖…君」


自分が幸来ちゃんの手首を掴んで
いることに気がついた。


「あっ、ごめん」


手を離した。


「うんん」


震えが止まらない。


「聖…君…」


ドアが突然あいた。


「ひー君!!!」


カナ兄、何でここに。


「ひー君、震えてるのか」


「カナ兄、何でいるの?」


「郁磨君に連絡もらって、飛んできた」


「まだ、そんなに時間たってないのに」


「郁磨君、もう、ひー君返した方が
良いっていうから」


相変わらず、過保護。

ブラコンって、言うやつだなぁ。


「後、この綺麗な子は誰。
もしかして彼女とか、お兄ちゃん聞いて
ないぞ」


「違う」


「赤くなって、可愛い」


からかってる。


「でも、本当に良かった。
大したことなくて、もう息苦しくないか。
心配したんだからな」


「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」


「本当、良かった」


心配症で過保護過ぎる。


「あの、えっと、聖君のお兄さんですか」

「そうだけど」


「あの私、聖君のクラスメイトの
峰岸 幸来と言います」


「クラスメイト、ひー君と仲良くして
くれてありがとう」


「いえ、そんな」


「じゃあ、ひー君は、連れて帰るから」



カナ兄がそう言って、
保健室を出た。



       駐車場へ



車の中。



「峰岸 幸来ちゃん。
ひー君の好きな人でしょ」


何で、カナ兄が知ってるの。

僕言ったっけ、言ってないよね。


「郁磨君から聞いた」


いっくんめー。


「軽いパニック起こしたんだって」


「まぁ、過呼吸なりかけた」


「何があったの」


「その……」


思い出すだけで気分悪い。


「無理にとは言わないけど……、
帰ろっか。」


「うん。」




僕は、知らなかった。

このあと、あんなことがおきるなんて……



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