恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
僕は、情けない。


女の子に此処までさせておいて、
自分は逃げてばかりいた。

だから、僕も、過去なんてどうでもいい。

今、思うとこをちゃんと伝えよう。

他人の事より、先ずは、自分の思っていることを伝えなくちゃいけないんだ。



「僕も、幸来ちゃんに嫌われたと思った。
近付くな何て言って、傷つけて、

そんなこと、思ってない。

本当はそばに居てほしい。

小さいときは、嫌いでもいいから、
誰かそばに居て欲しいって思ってた。

一人が凄く怖くて、普通なら、
寂しいとか悲しいって言うのかも知れない

けど、僕にとっての一人は、恐怖なんだ、
だから、もし、好きな人が出来たら、
幸せなんだろうなって思ってた。

その幸せをくれたのは、幸来ちゃん。

お菓子作ってきてくれたり、
少しお話ししたり、
その当たり前が僕には、凄い嬉しいんだ。

凄く、凄く嬉しいんだ」


「ヒック、ヒック」


泣きながら、一生懸命話を聞いてくれる
幸来ちゃんに、僕は、抱きついていた。


「嫌いなんかじゃないよ。

好き、大好き、愛してるよ。

だから、泣き止んで、ねっ」


頭をポンッポンッとした。


「あの、聖君、そろそろ」


幸来ちゃんから、離れた。

幸来ちゃんの顔が真っ赤で、
下を向いていた。


「あれ、幸来ちゃん、どうしたの?
抱きついたのが嫌だった。

それとも、頭ポンッてしたから、
あの、えっと、その」


「フフッ、アハハッ」


「幸来、ちゃん?」


「聖君、パニクりすぎ、大丈夫だよ。
ただ、ちょっと恥ずかしくて」


そっか、良かった。

また、傷つけてしまったんだと思って、
焦った。


「でも、笑うことないじゃん。
僕、本当に心配してたのに」


「ごめん、けど、男子高校生は、
頬っぺた膨らませて怒るなんて、
ちょっと、新鮮で可愛い」


「可愛い?
言われても嬉しくないよ」


「フフッ」


幸来ちゃんが抱きついて来た。


「おっと、幸来ちゃん?」


「良かった、本当にフラれたら、
どうしようかと思った。

勇気だして告白して良かった。

なんか、安心した。

聖君、私も大好きだよ」


「うん。
あの……、幸来ちゃん、そろそろ限界」


「あっ、ごめん、重かったよね」


「僕、あんまり鍛えてないから、
画家だから、けがしちゃいけないって、
スポーツとかしないし。

けど、頑張ったんだよ。

流石に、女の子にベットに押し倒されたら
僕だって、一応男だから、その、
プライドが許さなかったと言うか」


「あっ、ごめん!!!」


また、幸来ちゃんの顔が真っ赤に。


「幸来ちゃんって、大胆なんだね」


「違う、違うから」


「ハハッ、ハハハハハ」


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