恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~

「そんな毎日が続くんだろうと
思ってた。


    十一歳の冬


親は、仕事ついでに旅行にいった。


家に、僕一人を残して……。


その時、

パイロットの操作ミスにより起きた
飛行機事故、死亡者 四人。


その中に両親が含まれていた。


僕は、天涯孤独になった。


それから、弧児院に預けられた。

天羽 聖が弧児になった。

そのニュースは飛行機事故と共に
世界中を駆け巡っていった。

その弧児院に欲にまみれた世界中の
大人たちが、我が子にと訪ねてきた。


僕は、それを見て、

『自分は不幸を呼ぶ、悪魔だ』 と

そう思った。

だから、誰にも愛されない、愛されては
いけない子なんだって、心を閉ざした。



本格的に絵が描けなくなって、

何も、描きたいとも思わなくなって、

意欲もなにもなくなっていった。


生きていくことさえも諦めようと
していた。

生きていても、
他人を傷つけ、自分も傷つく。





そんなとき、

今の父さんが訪れてくれたのは、

最初は、また同じだと思ってた。


『絵が描けない。

だから、諦めた方が良い。

何の得にもならない』


そう言っても、


『得なら十分にある。

君が家族になってくれる事』


そう言ってくれた。

いつもだったら、そう言えば、
何も言わず去って行く人ばかり。


僕が必要って言ってくれた人は、
初めてだった。


それから、

僕が一緒に暮らしたいと言うまで、

一年以上の歳月を待ってくれて、

兄と妹が出来て嬉しかった。


一人じゃないそう思えた。


また、幸せになって、

そうするとまた、絵を描きたいと
意欲がわいてきた。


無理はダメだって言われたけど、

また、絵を描き始めたんだ。


生きてると感じられた」


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