恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~

「あっ、天羽 聖(アモウ ヒジリ)って
言う画家さんに似てる、絵のタッチとか」



あれ、峰岸さん、僕のこと知らないんだ。



「似てるも何も、それ、僕だから」


「でも、聖君の名字って、
御木(ミキ)だったよね」



あっ、フルネーム覚えててくれてたんだ。



「うん。 
御木さんって言う、今の父さんに引き取られたから、戸籍上は御木

けど、画家として活動し始めたのが
六歳の時だったから、

引き取られたときは
天羽 聖、ヒジリ・アモウで
世界中に知られていて、今更変えるのも
って」


「ごめんなさい。
私、失礼なこといった」


「気にしなくていいよ。

隠してる訳じゃないから、それに、
ちゃんと僕の作品のことと名前覚えてて
くれたんだから」



「あまり絵とか、詳しくないんだけど、
天羽聖っていう画家の作品は、
見ていると不思議と涙が止まらなくなる
自分でも、分からないくらいに、

だから、気になって色々調べたりして、
まさか、聖君だとは思わなかった」



涙が止まらなくなるって、
やっぱりあのときの子は……。



「ねぇ、聖君、聖君は好きな人いるの?」


「えっ」



あれ、頭が真っ白になった。


もしかして、バレた。



「いきなりごめん。
ほら、聖君、モテるからあまり女の子の話とかしないでしょ。だから、どうなのかななんて思ったりして……」


そんなの君に決まってる

とか言えない。


どうしよう。
って、その前に、



「僕が、モテる?」


「うん、自覚なし。

結構、格好いいって噂たってるんだよ。
目の色も格好いいって」



僕の瞳の色はブルー。


噂に興味ない、僕が興味あるのは
峰岸さんだけだから関係ない。


「峰岸さんってさ」


「幸来でいいよ。
私だけ、聖君じゃ何か可笑しいでしょ」


「うん」


やったー、名前呼び許してくれるんだ。



「さ、幸来ちゃん」


「何?」


何か、今、凄く幸せ。


「オーイ、聖、そろそろ帰る……
あっ、ごめん、何でもない」


「いっくん、ちょっと待って」


僕は、いっくんの腕を掴んで、
小声で話した。


「僕の心臓が持たないからいてよ」


「ヤダ、何でイチャついてる二人の間に
いなくちゃなんねんだよ。
気まずいだろ」


「イチャついてない。

そんなこと言わずに、幼馴染みでしょ
助けてよ、いっくん」


そろそろ限界なんだよ。
心臓バクバクいってる。



「わかった」



はぁ、良かった。

と同時にいっくんが、



「峰岸さんも一緒に帰らない?」


「うん、いいよ」



えっ、幸来ちゃんと一緒に帰れるんだ。

おもわず、にやけてしまった。



「聖、にやけすぎだ」


「だって、嬉しくて」



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