恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
       帰り道


「へぇ~、二人は幼馴染みなんだ」


「幼稚園からずっと一緒なんだよ。
それに、父親同士が仲良くて、
同じ画廊だから、気が合うんだろうけど」


「お母さんは何してる人なの」


「母さんは、絵画修復師」



何か、二人の世界で僕、入れない。

 けど、二人きりよりマシ。

心臓がドキドキしっぱなしだったから。



「ねぇ、聖君のお母さんは何してる人」


「あっ、それは……」


「変なこと聞いちゃった」



僕のこと知らないから仕方ないよね。



「母親はいないんだ。
実母も死んだし、今の家は、兄妹もいる
けど父さんが、身寄りのない子供たちを、
引き取って育てているから……」


「ごめん」


「いいよ、別に」


幸来ちゃんのことが好きだから、
ちゃんと僕を見てほしいから、
何でも正直に話そう。


そんなことを思っていると
幸来ちゃんは家についた。



「ここが私の家兼お店」



そう言われて、見ると、
昔ながらの喫茶店のようなお店だった。



「へぇ、喫茶店?」



いっくんが、疑問を投げかけた。



「う~ん、カフェかな、お酒扱ってるし」



ここが、幸来ちゃんのお家か。



「入ってく」


「今日はちょっとこのあと用事が」



申し訳なさそうに、いっくんはいった。



「そうなんだ、ごめんね」



僕も、いっくんの言葉で用事を思い出して
幸来ちゃんに謝った。



「何か、機会があったらきてね」



笑顔で答えてくれた。


そのあと、別れをいって、歩き始めた。


少し、緊張がとけた気がした。



「聖、もっと峰岸さんと話せば良かった
のに、殆ど、俺が会話してたじゃねぇかよ」


「だって、緊張して何話せばいいか、
わからなくなっちゃって」


「聖、緊張とか表情でないくせに
嬉しいこと、隠したいこととかは、すぐに顔に出る」


なんか、バカにされてる?


「でも、聖の為に色々聞き出したぞ」


「何を?」


「峰岸さんのこと。
実家がお店やってるから、料理もお菓作りも好きなんだって、殆ど、接客だから、
人と話すのは割りと得意らしい」


あっ、だから学校でも、色々な人と話せるんだ。



「今度、弁当作って貰えよ」


「イヤ、まだ、今日ちゃんと話したばかりだから」


「いいんだよ、図々しい位が丁度いいんだから」



いっくん、ガツガツしてるなぁ。
僕には、とうてい無理。
 

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