阿漕荘の2人

小鳥遊くんの恋人 3

練無side

9月の初めの頃
平日の昼間

小鳥遊 練無は食事のため
n大学医学部食堂 よろず屋に訪れた

よろず屋といってもカレー、ラーメン、おすすめa.bの4種類しかない

しかしその安さとボリュームで医大生の胃袋を鷲掴みする

なんとも痛い表現だ

練無はおすすめBランチのチキンソテーを頼む

鶏肉は肉の中でも一番美味しいと思う

高タンパク質低カロリーの
健康食品代表格だ


テレビが見れる中央の席は人気で、
混雑している


練無は食事は静かに取りたいタイプなので、
脇の長テーブルに座る


チキンソテーも半分ほど食べ終わった頃

左隣のイスが引かれた

「よう小鳥遊」
「やあ、松川、またラーメン?」

「ああ」
「よく飽きないね」

「ラーメンはな
主食、汁、野菜、肉、魚介を一度に全部食べられる完全料理なんだぜ」
「なんで、大学生ってみんなラーメン好きなんだろうね」
「人はみなラーメンを通して大人になるんだ」

「それは過大評価しているよ

僕はどちらかと言うと蕎麦派だ」

森川が箸を割って食べ初めた

箸は横向きにして割るのが礼儀だって知ったのは
いつだったけ

「ところで、さあ」
「なに」
「合コンに参加しないか?」
「合コン?やだよ」
「お願いしますよ」

「僕がそういうの参加しないって知らないの」

「お前に来て欲しいんだ」
「なんで?」

「向こうの主催者が、お前に来て欲しいって指名しているんだよ

お前が来たら、こっちも上玉揃えるからって」
「なんで僕?」
「知らなねぇよ
お前のファンなんじゃねえ」
「やだよ、気持ち悪い」

「そこをどうか」

「いやだ」
「そういえば
ズカ部のハイド様が来るって言ったら、お前が来るって言ってたぞ」

「ずかぶ?かぶ?ラディッシュの一種かな?」
「お前、ズカ部知らないの?」
「知らない」
「結構、有名だぞ。

n大生の女子もかなりハマっているヤツ多いぞ」

「なにそれ」

「宝塚だよ」
「はぁ?」
「z大学生の女子が中心になって動いてる非公認宝塚だよ

いわば、演劇サークルの一種だな」

「ふぅん」

「おいおい、かなり有名だぞ

特に女子の間でな

ってかほぼ女子なんだけど

ついにその魔の手が伸びてきてんだぜ、ここまで」

松川が首を切るマネをした

「なんで?ただの演劇サークルでしょ?」


「それがよ、ハイド様のおかげなんだと」

「ハイド?歌手か?」

「違う、ハイドランビスの略」

「ハイドランビス?外人?」

「ハイドランビス
えーと、日本語で……」

「紫陽花」

「そうそう、紫陽花の君」
「源氏物語?」

「ファンがそう呼んでる」

「はぁ?馬鹿じゃないの?
そのハイドなんとがどうしたの?」

「合コンに来るんだよ」

「合コンってハイドなんとかって学生?」

「ああもちろん、z大生だよ」

「えっ?ハイドなんとかって女?」

「そりゃそうだよ、宝塚の男役なんだよ」

「うわぁ何それ……
そんなのと合コンすんの」

「うわぁって、お前、黙れって

言っただろう、かなりファンがいんの

大学のサークルのくせに

ズカ部の公演とかになると5、600人が

チケットを争うんだぜ

ハイド様観たさに」

「なんなの、そのハイド様?」

「いやなぁ、それが、かなり謎でなぁ

まあ、えらく美形で女の割には長身なんだと

でもなぁ、実際にはサークルには入ってないんだと」

「……意味わからない」

「どうも、ズカ部の部長の友達で
助っ人に演劇やったら

思った以上に人気が出ちゃったんだと」

「ふぅん、でもさぁ
なんでハイド様と僕が関係すんの?」

「知らねー

ただ今回の合コンの主催者がズカ部の部長で
ハイド出すからお前連れて来いって」

「なんだそれ」


「まぁ、ここまで、俺も話したんだし

来いよなぁ」

「わかったよ、ハイド様観たいし
行くよ

どんな女なんだろうね」



練無は食べ終わり、おぼんを片付けに行った
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