きっといつか
「そっか、辛かったね…」
その男性は私の話を聞いてくれた。
説明することが下手な私が説明して伝わったかは分からないけれど、やっぱり声に出して思っていることを言うと気持ちがスッキリする。
「…それにしても失礼な奴」
ボソッと呟いた私の言葉に男性は笑った。
「なんで笑うんですか…」
少し恥ずかしくなって顔がほんの少し赤くなった気がした。
きっと目の前にいる男性は私より少し年上だろう。
対応が大人で、同級生とは違う包容力。そんな感覚が心地よくてさっきまでの感情をより落ち着かせてくれた。

「いや、もう…色々とご迷惑おかけしました…薬までありがとうございます!」
「元気になれたなら良かった。じゃあ俺は戻るから、気を付けて帰ってね」

え?戻る?何処に?そういえばこの人誰だっけ?名前も何も知らないことに今気が付いた。
「君、思ってることぜーんぶ口に出てるよ(笑)
俺は五十嵐舜、先生になる為に実習しに来たんだ。まだ授業とか入ったことないし分からなくて当然!」
そう言って顔をくしゃっとさせて笑った五十嵐先生はとても格好良く見えた。
犬みたいな可愛らしい顔立ちで、子供みたいな無邪気な笑顔。
この先生はきっとモテる、私はこの瞬間確信した。
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