寵愛の姫 Ⅰ【完】




「……、」




……何、だと。


じゃあ、あれは……。



「気付かなかった?」



身体を戦慄かせる俺に、茉莉は首を傾げた。



「莉茉があんな良い服、持ってる訳ないじゃない。」


「っ、」



無邪気な茉莉に殺意が湧く。



「あの子は、私のお下がりしか“与えて”ないもの。」



「は…?」



…………与えてない?



まじまじと茉莉を見つめる。
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