Dilemma
確証は無い。
だが、それしか考えられない。


では、一体誰が?



「…………」


里美は立ち上がって辺りを見回すも、やはり誰かが訪れた痕跡は無い。
墓石の掃除も長らく誰もやっていなかったのだから。



「…私だけじゃ…なかったのか…」


今、誰もが亡くなった総長のことなど忘れて生きている。



だけど


自分以外にも菅谷のことを今も忘れずにいる人がいること。


その事実は里美にとって少し嬉しいものだった。
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