最強女総長×俺様総長Ⅱ


玖籠「零。

これチケット」


玖籠はそう言って、あたしに空港のチケットを渡す


あれから、空港に着き搭乗入り口まであたしと樹一、玖籠でここまで来た


零(凛)「ありがと」


あたしは礼をいい、チケットを受け取る


玖籠はあたしをジッと見つめる


何も言わずに、、、


樹一「零。

家族のお土産を少し見てくるよ」


何かを察した樹一はそう言って、お土産売り場に向かって行った


樹一に悪いことしたな


零(凛)「玖籠。心配しないで」


あたしはそう言って、少し微笑んだ


玖籠「零、、、いや、凛。

お前、今の状況わかっているのか?」


凛と言い直して真剣に言った


こいつらは零が偽名だってことわかるから凛が本名だと思っているんだろう


いや、今では疑っている


霧野凛は本当に存在しているのかということを、、、


玖籠だけじゃない


あたしに関わっている奴ら全員があたしの詳細について調べている


何度調べても変わらない


あたしが作り出した情報しか出てこない


玖籠「お前は今、どっかのわからない奴らに狙われている。

そいつらが海外にいないっていう確証はない。

それなのに、お前は一人で行動しようとしている。

どんなに危険がつきものなのかわかっての海外なのか?」


少し詰め寄って言う玖籠


凛「わかっている。

あたし一人の方が対応しやすい。

それにあっちは日本よりも治安が不安定だ。

その分、強者が揃っている。

安心しろ。」


あたしは真剣な顔で言った


そして、零ではなく凛として


玖籠「凛に敵わないのはわかっている。

だけど、お前の」
凛「玖籠!!」


あたしは玖籠の言葉を遮り、声を荒げた


周りにいた人が何かとチラチラみる


あたしはそんなことをさして気にしないかのように玖籠を睨んだ


玖籠が言おうとしてたことはあたしが一番嫌いなことだ


凛「玖籠、2度とその言葉を口にするな」


あたしは声を低くし言った


玖籠「(ゴクリッ)」


玖籠は凛の睨みに唾を無意識に飲み込んでいた


凛「玖籠。

あたしは、お前らを一度もそんな風に思ったことなんてない。

お前らを盾にしようと思って一緒にいるんじゃない。

お前らが大切だから、守りたいから傍にいるんだ。」


あたしは言った


凛の顔は悲しみに帯びていた


凛は自分がどんな表情をしているのか気付かない


玖籠は凛の顔を見て、顔を歪めた


アナウンス「□□時△△分出発、〇✕航空ドイツ行き…………」


玖籠が口を開きかけた時に丁度アナウンスが流れた


凛「玖籠時間だ。

こっちの治安は任せたぞ。

暴走族では無理なところもある。

その時は、玖籠頼む」


あたしはそう言って、玖籠の肩に手をのせた


凛「じゃあな」


あたしは『また』とは言わない


何があるかわかんないのが裏の世界だからな


あっちに行っている間にもう玖籠たちに会えなくなるかもしれない、、、


あたしは玖籠に背を向け、搭乗入口で紙袋をいくつか持って待っている樹一の元に向かった


零(凛)「樹一、待たせたな」


樹一「いや、そんな待ってないよ」


あたしは零に戻り、樹一に言った


零(凛)「樹一、帰るぞ」


あたしは樹一の分のチケットを樹一に渡し言った


樹一は一瞬目を見開いたが、すぐに微笑みうんと言った


そして、あたしと樹一は搭乗ゲートを潜った












玖籠「俺は、お前のそんな顔をみたかったわけじゃない、、、

俺はお前に笑っていて欲しいんだ、、、

ずっと、、、」


玖籠は遠ざかっていく凛の背中を見ながら囁いた


凛に決して届くことのない願いは空港内の声に搔き消された

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