懲りもせず、恋する私
往復する指先、
下から受ける刺激、
身体が熱を持ち、
翼の額から落ちる汗さえ、
私を甘く、鳴かせる。

あれから、翼の妖艶な姿に
酔いしれ、何度も波を受け、
心地よい疲労感で眠りについた。

寝室の窓に柔らかな朝日が漏れる、
「う〜〜ん」
「つぐみ…。起きて?」
「ふぁ〜〜。おは、よ…」
翼の腕枕に
甘えた。
スッポリと俺の胸の中に頬を埋め、
上目ずかいで
恥ずかしいそうに笑う、つぐみ。

「朝ごはん食べて、散歩するか?」
「うん!」
支度をして、
コーヒーとサンドイッチで
朝ごはん。

別荘から
左にゆっくり歩き出す。

自然に繋がれる手。

「確か…ここを曲がると…あっ!
ここだ!」

「翼?ここってもしかして…」

「うん、爺さんがここから見える景色
が大好きでさ。
春夏秋冬、色んな顔見せるって
嬉しそうに…」

「翼は、お爺さんが大好きだったんだね
なんだか、私もお爺ちゃんとお婆ちゃんに会いたくなっちゃうよ。」
「会いに行ってやれ。元気なうちにな」
「そうだね。ふう〜。気持ちいい!ほんと…綺麗な景色だね。」

そこは、
眼下に広がる街並みを
見下ろせる場所。

左側には聳える山々。
右側には、
遠く海か見える。

「時間が止まったみたい…。」
ふと、瞳を閉じ
大きく深呼吸する。

つぐみの綺麗な横顔。


連れてきてよかったよ。
爺さん。

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