真実の愛のカケラ
…この間が私を追い詰める。


「最近会えてないもんな」


背中だけだったぬくもりがいつの間にか身体を包んでいた。


「俺も。
柚希不足だな」


背中から身体中に響くように拓哉の声が伝わってくる。
この距離0センチというのがすごく嬉しい。
手を伸ばさなくても触れていられる。


こうも幸せだと後のことを考えてしまう。
この手を離されたら、次に触れられるのはいつになるんだろう?
いつも目に見える場所にいるからこそ、手が届かない距離がもどかしくなるんだよ。


ただ今は、この静かに打っている自分のものじゃない鼓動に耳を澄ませよう。
それだけで、心が落ち着いていく。

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