真実の愛のカケラ
そこでやっと女性と目が合った。
高そうな和服を来た綺麗なその女性は、少し驚いたような目をして徐々に輝かせていく。
…正直こういう反応をされるのには慣れている。
大企業の令嬢がそんなわかりやすい反応見せていいのかよ。


「申し訳ありませんが、今回の話は無かったことにしていただけませんか。

私は誰とも見合いをするつもりはありません。


心に決めた相手がいますので…」


え、という女性の声が聞こえたが、いつまでも祖父さんの無茶に付き合ってなんかいられない。
この辺ではっきりさせておかないと。
どんなに強引にやられても、俺にだって突き通したいものがある。
譲れないものがある。


滞在時間数分。
だけど俺の意志の固さを示すための時間となった。


祖父さんが探してきた相応しい相手とやらと結婚させられるのなんてごめんだ。
本当に相応しい人を見つけたいのなら、今すぐ石川県に行けっつーの!
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