真実の愛のカケラ
「堺さん…。
ありがとうございます」


そういえば、こんな素直な気持ちで堺さんにお礼を言ったことなどあっただろうか?


「何をおっしゃいます。

私はただ、来年幼稚園に入園する孫を新しい店舗で私の作る料理で祝うことができればよいなと思ったまでです。


そのためには、宮野さんの案を通してもらわないとなりませんから」


ふっ、と笑みがこぼれる。
そうだ、この人がそもそも素直じゃないんだった。


「でも、ありがとうございます。
お陰で大切なことに気づかされました」


「そうですか。
それは何よりです。


ところで、宮野さんにお会いされるのでしたら、近々メニューの打ち合わせをしましょうとお伝えください。
もちろん拓哉さんにも考えてもらいます」


こう言いながらも、心配してくれてるんだよな。
それに、俺のこれからの行動を堺さんはわかってるみたいだし。


「わかりました。
伝えておきます」


そう言って電話を切る。
そして、堺さんが予想した通り俺は柚希に会うためにメッセージを送る。
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