太平の世を夢見て

千月が主を務めるこの志津の国は、誰の見方でもない。

故に多くの大名がこぞって奪おうとしていた。が、しかしこの志津の国の軍事力は
計り知れずどんなに大群で攻め込んでも
国境で返り討ちにされてしまうのだ。

つまり、この国に他の国のものは千月の
許しが無くては入れないのである。

この時代、最も強い権力を持っていたのは間違いなく豊臣だった。

が、千月は彼の見方ではないため豊臣の軍も あるいは豊臣秀吉本人であっても
この国からすれば  ‘‘他人’’であり‘‘無関係’’
であるのだ。

つまり、太閤殿は敵でもないが見方でもない。
この国に城主である千月の許可無く立ち入る事はある意味‘‘違反’’なのである。


それを、犯しているにも関わらず

千月は快く彼を迎え入れた。

正装をして入り口で頭を下げて待った。

「千月〜。なんで、敵かもしれない
奴に頭下げんの?」

これまた、無礼な口ぶりで話す松ノ助。

「はぁ………松ノ助、敵 見方でしか物事を見れないのであれば貴方は可哀想な子ね。
どんな相手であっても誠意を持ちお迎えする。腰を低くするのと敬意を持ち頭を下げる事は全くの別物。勘違いするでない。」

少し呆れた言い方で、少し強い言い方で
千月がいった。

それから少しして、秀吉が到着した。
< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop