初恋の甘い仕上げ方
「設計デザイン大賞を獲るほど仕事ができる翔平君に私が追いつくことはまずないですけど、でも、目標にして必死で頑張ってます」
ここまで焦る必要はないにしても、同じ業界というくくりで翔平君と並べられるなんて、翔平君に申しわけない。
これまでのキャリアを比べても、というより比べるほどの実績を私は残していないのだから、翔平君にしてみればおかしすぎる話だ。
ペットボトルのラベルのイラストを担当させてもらい、幸運にもその売れ行きは好調だけれど、それは私がようやくこの業界で仕事を続けていけると思えるきっかけにすぎない。
これからも更に精進しなさいと、背中をおしてもらったようなものだ。
私は体を小さくし、力の入らない顔で久和さんに笑顔を作って見せた。
「もちろん、今はまだ経験や実績に大きな差はありますけど、白石さんがこのお仕事を長く続けていけばきっと、水上さん同様素敵なデザインを発表していかれると思いますよ」
「そんな、お気遣いなく……」
「いえ、気を遣ってるわけじゃないんです。長い間この仕事をしているのでたくさんの方と知り合う機会があったんですが」
「は、はあ……」
そこまで言って、久和さんはちらりと翔平君を見た。
この先を言ってもいいのだろうかとうかがうような、問いかけに似た視線を向けている。
翔平君を見れば、さすがに長い付き合いの久和さんとはあ・うんの呼吸のようで、口角を上げ、かすかに頷いていた。
一体、その視線のやりとりはなんなのだろう。
訳が分からず隣の小椋君を見ても、彼も戸惑っているようで特に何も答えてくれない。
私同様、わかっていないらしい。
「白石さんはきっと……あ、小椋さんも同じですが、いずれは水上さんのように大きな賞を狙えるデザイナーになると思いますよ。別府さんの事務所で仕事をされているんですから、大丈夫ですよ」
「は? あの、えっと」
久和さんの言葉に私と小椋君は顔を見合わせた。