初恋の甘い仕上げ方
菓子メーカー最大手が投入したチョコレートの新商品のほとんどのパッケージデザインを翔平君が引き受けたというのは業界では有名な話。
去年までは別のデザイン会社が請け負っていたけれど、今年は翔平君が単独指名された。
私がそれを知ったのはかなり前で、聞いたときから発売を楽しみにしていた。
けれど、いざこうして買ってみると、翔平君の偉大さを改めて感じて食べる気になれない。
コンビニの一番目立つ場所に積まれていたチョコレート。
翔平君はさっき、気づいただろうか。
翔平君が手がけたチョコレートのすべてを私が買っていたことを。
チョコレートを見ていると、小学生の頃から今まで、たったひとりを思い続けていた私の気持ちはそう簡単には切り替えられないと改めて気づく。
翔平君が高校生だった頃の、やんちゃだった日々も知っているし、大学生になって恋人と街中を歩いている後姿に立ち尽くしたことだって一度や二度じゃない。
けれど、次々と彼女が変わっていくのを見るたび私の気持ちは麻痺し、いつかは私の順番がくるはずだと思うようになった。