初恋の甘い仕上げ方





体全部が重く感じ、堅いフローリングの上にいるというのに沈み込んでいくような感覚を覚える。

吐き気すら感じる自分を奮い立たせるように何度か浅い呼吸を繰り返し、廊下に寝転がる兄さんを見た。

人当たりがよく、どちらかと言えば軽い印象の兄さんと、冷たい印象でいつも落ち着いている翔平君は完全に逆のタイプだけれど、今でも変わらず仲が良い。

『俺も、結婚しようかな。園ちゃんと結婚して、幸せになろうかな』

遠距離恋愛を続けている恋人の園子さんとの結婚は、兄さんにとっては決断できずにいる難しい問題だ。

教師として頑張っている園子さんが、その職を辞してまで兄さんと結婚するのかどうかは微妙だけど、愛し合っている二人のことだから、別れるという選択肢はないだろうし、前向きな結論を出すだろう。

普段は「教師になるのは園子の夢だったんだ。結婚はもう少しあとでいい」と言って園子さんのことを気遣っている兄さんだけど。

本当はすぐにでも結婚したいはずだ。

酔っぱらったときにしか口にできない本音を聞いてあげることしかできないけれど、兄さんには幸せになってもらいたい。

「私も応援するよ」

届いているのかどうかわからないけれど、へらへら笑っていた兄さんにそう告げた。

そして。

その日を境に翔平君への気持ちを完全に凍結する努力をしていた私に突然舞い込んだお見合いの話。

両親のあまりにも切実な表情からは、私の幸せを願う切羽詰まった思いも感じられた。

もしかしたら翔平君の結婚を知った私を気にしてのことなのかもしれないと思った。



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