麗雪神話~幻の水辺の告白~
(あら、私何かまずいこと言ったかしら)

けれど何がまずかったのか、全然わからない。

「私はシルフェっていうのよ、よろしくね」

「お姉ちゃんも一緒に遊んでくれるの?」

「そうよ」

シルフェが穏やかに微笑みかけると、見ていた子供たちの頬がぱっと朱に染まった。

さっそく何人かが我先にとシルフェの手を引いて、孤児院の中庭へと駆け出す。

中庭には遊具が設置されているようだった。

シルフェは子供たちと一緒になって、つい夢中で遊んだ。

滑り台を一緒に滑り降りたり、遊具の上で鬼ごっこをして遊んだり。

その様子を、ボリスがじっと目で追っているのにも気が付かなかった。

一通り遊んで疲れた頃、シルフェは視線を転じてボリスを見た。

殴りかかってくる子供たちと、じゃれあっている。木の棒を振り回す男の子たちはやんちゃで、ボリスをタコ殴りにしていた。ボリスの方は、軽くやりかえすだけだ。

ボリスは朗らかに笑っていた。

(ボリスって、意外と面倒見がいいのね)

子供に限らず、弱い者に優しいところがある、と最近思う。

我知らず微笑みがこぼれる。
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