麗雪神話~幻の水辺の告白~
悩めるサラマスの目の前に、「答え」が降ってきた。

風に乗って、「手紙」が運ばれてきたのである。

サラマスはすぐにそれが、待ち続けたシルフェからの手紙だと理解した。

大慌てで空を漂う手紙をつかまえ、中身を読む。

そこには案の定、シルフェからサラマスに宛てた報告が書いてあった。

(遅いぞシルフェ! …何? 一時的に風の力を失っていた?)

その病気ならサラマスも知っているが、まさかこんなタイミングでかかるとは、なんと運のないことか。

今はやっと治り、手紙を風で送れるようになったらしい。先にセレイアとディセルに連絡を取ったらしく、彼らが夜の虹のペンダントを完成させてくれたと書いてあった。一週間後の夜、無事天上界への扉が開くことになるので、待ち合わせ場所を決めようとも。

扉が現れるのは、この国で一番聖なる場所、狩猟祭でも狩場となる、森の中だということだ。

サラマスは急いで室内にとって返し、返事の手紙を書きあげた。

了解の旨と、待ち合わせ場所の提案。六日後の朝、森の入り口はどうだろうかと書いた。

返事を運ぶためにとどまってくれていたつむじ風に、手紙を託すと、手紙は風に乗って去っていった。

(…さて。俺はいよいよ、ここを離脱することを考えなければな)

六日後までに、なんとしてもここを逃げ出さなければならない。
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