麗雪神話~幻の水辺の告白~
数日が経ったある日、ボリスが突然こう言った。

「よし、そろそろ頃合いだな。
おいシルフェ、出かけるぞ。
お前も来い」

「えっ、僕も? どこに?」

訊ねたが、ボリスは答えてくれなかった。

ひきずられるようにして、ボリスと共に緑深く薄暗いジャングルを歩く。

一晩越してまだ歩き続けると、街道に出た。

街道に出る前に、ボリスは念入りに変装していた。

ぶあつい眼鏡に、ひげまでつけて…。

「どうして変装なんてするの?」

「それくらい自分でわかれ」

ボリスはにべもない。

二人は馬車に乗り、馬車の中で一晩越してさらに数時間歩いて、やっと目的地にたどりついた。

「ここはコルッツォ村。
最近我が国に併呑されたリッツェン王国の領土だった場所だ」

「へぇ~」

そうとしか返事のしようがない。

なにせこんなところまでシルフェを連れてきて、何をするつもりなのか、まったく見当もつかないのだから。
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