Pallet
口を開けば「暑い」としか出てこなかった昼間が嘘のように、空は曇り大粒の雨が地面を打ち付ける。

ツイてないなぁ。
せっかく持ってきた傘を学校に忘れてくるなんて。

降ってきた雨から逃れるために入った、学校の側にあるバス停の待合室。

一瞬、取りに戻ろうかと考えてみたものの、容赦なく打ち付ける雨にため息が漏れる。

「止むまで待つしかないか」

これ以上濡れたくないしね。
すぐにこの場所に逃げ込んだはずなのに、肌にはしっかりと張り付いたワイシャツの濡れた感触。

もう少し早く帰れていれば……。
今頃は、自分の部屋でゴロゴロしているはずなのに。

それもこれも、担任の矢野のせいだ。
明日のHRで使う資料なんて、自分でやればいいのに。

前髪から雫が落ちる。

「ホント最悪!!」

そう言いながら、濡れた髪をかき上げた。

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