お隣さんと内緒の恋話
貸しが増えてしまったコンビニでの買い物。
もう 何の貸しがあったのかさえ忘れてしまった。
「 椿、俺の隣でちゃんと歩いて 」
「 え… 」
コンビニの袋からシュークリームを出した時、肩をグッと掴み 私の体は葵の横に寄せられた。
今さらだが、葵は背が高い。
雅と比べれば少し低いが きっと180近くはあるだろう。
腕を掴み引っ張られた力強さを思い出す上、公園で隠れながら密着していた私は 今と違って 葵を意識していなかった。
でも、今はドキドキしている。
見ればダサ男なのに…
私は自分がどうかしてるとしか思えず、葵の真横をくっつくように歩きながらシュークリームを掴んでいた。
「 椿、食べるのは帰ったらな 」
「 ちょっと~ 私 子供じゃないんだから そんな風に言わないでよねっ 」
「 歩き食べはよくないだろ?」
「 もう… わかってるし!」
まっすぐ前を向いて歩きながら言う葵を私は頬を膨らませてシュークリームを見つめた。
アパート前、葵の部屋の前、葵がエクレアを袋から出して私にくれた。
「 雅、帰ってるな…
椿、今日は手伝ってくれて助かった… ありがとな。
お婆ちゃんにもご馳走になったし… 」
「 ううん、明日も手伝うから。私の引っ越しもよろしくね?」
葵が私に笑みを見せ、玄関の鍵を開けた時、私も部屋の前に立って鍵を差し込んだ。
突然、葵が勢いよく開けたはずのドアを閉めた。
「 葵? どうしたの?」
「 ……入れない。雅の奴…… 」
は? なに、どうしたのっ