お隣さんと内緒の恋話

教室に入ってきた雅の顔はアザがくっきりあった。

まるで不良達がケンカした後のように。


イケメンが台無し。


そんな雅を驚き見ていると、雅と目が合って ドキッとしたが、先に目をそらされてしまった。

意外にもショックを受けるが 雅の顔のアザは葵がやったもの。

それがわかると、胸が痛かった。


葵が言ってた痛い説教って、この事…


授業中、雅を見られず 身が縮まる思いだった。


痛々しすぎる、申し訳ないよ…

謝らないと、私のせいだし。


それにしても 葵… 成敗しちゃうとは。


授業が終わると雅が職員室に行くのを、私は廊下で引き止めた。



「 織原… どうした?」

「 あ… あの、話があります 」

「 じゃあ、こっちに… 」


緊張しながら雅に着いていくと、職員室横にある一室に入った。


「 あんまり 使わないから 埃っぽいけど… で、なんだ?」

「 その顔… 葵が、雅くんに痛い説教したからって言ってた。
私のせいだよね、ごめんなさい 」

「 そんな事… いんだよ、俺が悪いからな。
椿ちゃんは気にするな。あと、しばらく 俺に近づかない方がいい 」



そんな… 気持ちに答えられなくても、雅くんは 雅くんだよ。



「 それは無理、出来ない。葵が大好きだけど、雅くんは 雅くんで好きだよ?
仲良しのお隣さんで先生で、雅くんだから… 近づかないなんて無理 」


そう言った私に 優しく笑って ありがとうと言った雅。


雅くんを葵みたいには思えないけど、今までどおりがいいよ。


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