お隣さんと内緒の恋話
チャイムが鳴ると葵の唇が離れていく。
ぎゅうっと葵の腕で閉じ込められる私は楓の事すら どうでもよくなっていた。
「 椿、俺 用事あるから帰り一人になるけど… 大丈夫か?」
そんな、私だよ?
「 大丈夫、葵がいっぱいキスしてくれたから 」
って言ってみたけど、本当は一緒に帰りたい。
でも、一人で帰るのを渋ったらガキだよ。
「 連絡するから 」
「 うん 」
二人で図書室から出て教室へ戻り、頭も心も 温泉に入っているようないい気分。
そんな気分のまま 授業に集中せず終わった。
「 椿、ねぇ 椿~ 」
「 え… あ、香伊羅 どした?」
「 ぼうっとしちゃって… 恋ボケやめてよ。ね、帰ろ 」
あっ! 葵は… って もう いないし…
声くらいかけてほしかったぁ
「 椿ってば!何 落ち込んでんの… ほら、帰ろって 」
香伊羅が私のカバンを持ち、ダラダラと後ろをついて帰る私。
「 ねぇ 圭都くんだけどさぁ… 椿?」
うなだれたままの私を 痺れを切らした香伊羅か一喝と同時に 両手でデコピンした。
「 …った!! ちょっ、香伊羅~」
「 恋ボケやめなさいよね!私の話し聞いてないでしょ、圭都くんの事… あれ、ナシね 」
は… 話が見えないけど?
圭都がナシって… 気に入ってたんじゃなかったの?
「 香伊羅、もしかしてさ、他に好きな人できた?」
それ以外 思いつかないもん。
「 って言うか… 椿や柚奈が恋ボケしてる最中に 告白された、光國くんに 」
「 ああ、光國… 光國くん!?」
やっぱ 香伊羅が好きだったんだ~
香伊羅は? どうすんの?