アサガオを君へ
「な、なにしてるの?」


「授業で作ったから渡しに来た」


栄治は微笑んだまま、私に可愛くラッピングしたピンク色のアイシングクッキーを差し出した。


私は受け取った。


可愛い人形のクッキーにはピンクのアイシングがたっぷりとかかっている。


私はそのクッキーを見つめたまま固まってしまった。


するとノンちゃんが私の手からクッキーを取った。


そしてマジマジと栄治の顔を見つめると言った。


「本当だ。宮野くんそっくり」


あ、だめ。


私はチラッと栄治を見る。


あからさまに怒った顔をしている。


……顔に出やすいところは、変わってないなぁ。


栄治はニコリとも笑わずに言った。


「それやめてもらえます?この顔が嫌いな訳じゃないけど、兄貴と似てるって言われると腹立つんで」
< 126 / 224 >

この作品をシェア

pagetop