アサガオを君へ
教室には夏樹がいた。


夏樹はジッと窓を見つめていた。


この部屋は窓から運動場がまんべんなく見える。


私が入ってきたのに、振り返ることもない。


私は机の上にペーパーフラワーをおく。


そして夏樹の制服の裾をつかんだ。


こっち向いて。


夏樹。


こげ茶色の目で、私を見て。


不意に涙が出そうになるのをこらえる。


なぜだかわからないけど、声が聞きたくてたまらなかった。


本当によくわからないけど頭に張りついたヨウチンの顔が私を責める。


夏樹は、片手にカメラを持っている。


自分のカメラだ。


夏樹には趣味が2つある。


1つはカメラで、2つは絵画を見ること。


夏樹は私の方を見ないで言った。


「栄治が見える」


私は夏樹の見つめる先を見た。


確かに、そこに栄治はいた。


もうすでに新しい友達ができたらしく、数人の男の子とワイワイと競技の練習をしている。
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