アサガオを君へ

『死ぬ』≠『いなくなる』

キュッと頭に結んだ青いハチマキ。


私は目にできたクマをなぞりながら、鏡を覗き込む。


そしてハチマキを外す。


私は昔からハチマキをまくのが人一倍遅いから、先にこうやって位置を確かめておくようにしている。


そんな私に、叔父さんは椅子に座ったままヘラッと笑いながら言った。


「心はクマがあったって可愛いよ。髪の毛してあげるから、おいで」


「…叔父さんの言うことは信用しないって決めてるの」


そう言いながら私はくしとゴムを持って叔父さんに背を向けて床に座る。


慣れた手つきで私のどうしようもない天然パーマを器用にまとめていく。


私が上を向くと、綺麗な顔をした叔父さんと目が合った。


親族の欲目でも何でもなく、叔父さんはとても綺麗な顔をしている。


叔父さんはフッと笑った。


「夏樹と喧嘩したのか?」


「喧嘩なんかじゃない」


あれはそんなんじゃないから。

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